1.救急搬送者数の推移
スパイクタイヤの禁止※1前後から転倒による救急搬送が増加傾向
- 転倒による救急搬送者数は、スパイクタイヤ装着率の低下※1とともに急増しました。
- 平成24年度には12月~3月の救急搬送者数が1300人を超え、過去最大となりました。
- 平成30年度から令和2年度にかけては、転倒による救急搬送者が比較的少なく経過していました。
- 令和3年度は、12月~3月の救急搬送者が1290人で、平成24年度冬期に次いで2番目に救急搬送者が多い冬期となりました。また、12月~2月の救急搬送者は1137人で、 これまでで最も大きな値となりました。
- 今のところ、スパイクタイヤの禁止※1と転倒事故の急増の因果関係を証明する科学的根拠はまだ明らかにされていませんが、車が雪氷路面を走行すると、その表面が車両からの熱で融け、滑りやすいつるつる路面に変化することは知られています。
※1 :平成3年4月1日より、積雪・凍結状態にない舗装道路でのスパイクタイヤの使用が禁止されている
【スパイクタイヤ禁止までの経緯】
◆ 昭和60年 「札幌市スパイクタイヤ問題対策審議会」(札幌市)
◆ 昭和62年 「札幌の街を車粉から守るためスパイクタイヤの使用を制限する条例」制定
◆ 平成1年 「北海道スパイクタイヤ推進条例」制定(道)
◆ 平成2年 「スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律」制定(国)
◆ 平成3年 札幌管内がスパイクタイヤ使用禁止地域に指定(国)
2.どこで発生しているのか?~多発地域の整理
転倒事故(転倒による救急搬送)は「すすきの・大通地区」が多い
- 救急搬送者は、「すすきの・大通地区」が多くが集中しています。札幌駅周辺や札幌駅から大通の間で、あまり多く発生していないのは、ロードヒーティングの整備状況などが影響している可能性があります。
- すすきの・大通地区以外では、新札幌駅、琴似駅、澄川駅、西18丁目、麻生駅、白石駅、北24条駅といった地下鉄駅の周辺で多く発生しています。
- すすきの・大通地区以外で3番目に多い宮ヶ丘には、北海道神宮や円山公園があります。
3.年齢層別の比較~搬送者数の経過・けがの程度
加齢とともに転倒によって救急搬送されやすく、また大きなけがを負いやすくなる
- 転倒による救急搬送者は80歳以上が最も多く、70代が2番目に多くなっていました。
- ○人口10万人あたりの転倒による救急搬送者数は、年齢が上がるとともに高くなっており、年齢層が高くなるとともに、転倒事故で救急搬送されるリスクが高くなると言えます。
年齢層別の救急搬送者数の推移(平成8年度~令和3年度)
人口10万人あたりの年齢層別救急搬送者数の推移(平成15年度~令和3年度)
- 高齢になるほど転倒事故で重症を負う人が多くなる傾向が見られます。
- 80歳以上の救急搬送者は、約半数が中等症より重いけがとなってしまうことがわかります。
- 30代から60代にかけては、ほぼ同じ程度の割合ですが、30代、40代が中等症の割合が高い傾向があります。
年齢層別・けがの程度別の救急搬送者の割合(平成8年度~令和3年度の平均)
4.年齢層別の比較~搬送時間帯
日中の時間帯に救急搬送されているのは60歳以上の女性が多い
- 9時~16時の時間帯は65歳未満に比べて、65歳以上の救急搬送者が多くなっています。
- 17時以降は65歳以上の救急搬送者が減少する一方で、65歳以上の救急搬送者は22時ごろまでほぼ横ばいの傾向になっています。
- 9時~17時の時間帯は60歳以上の救急搬送者が多くなっており、特に女性の救急搬送者が目立っています。
- 60歳未満の救急搬送者について、6時~20時は男女ともほぼ同じような変化をしていますが、20時以降、男性は救急搬送者が増加する傾向があります。
5.男女別の比較~けがの程度
女性は中等症がやや多い
- 女性は男性よりも中等症の割合がやや高くなっています。
男女別、けがの程度別救急搬送者数(平成8年度~令和3年度の平均)
6.年齢層別・男女別の比較~けがの程度
60代より高齢になると、女性の中等症の割合が高くなっている
- 20代~30代、40代~50代は女性に比べて、男性の方が、中等症、重症の搬送者が多い傾向にあ ります。
- 60代~70代、80歳以上では、男性に比べて、女性の方が、中等症の搬送者が多くなっています。
- 80歳以上女性では、中等症が全搬送者の半数以上を占めています。
- 女性は年齢が高くなるとともに軽症の割合が減り、中等症の割合が高くなっています。
年齢層別・男女別のけがの程度(平成8年度~令和3年度の合計)