■ 提言にあたって
積雪寒冷地の冬期の歩行空間においては、積雪による歩道幅員の減少、雪氷路面での歩行障害など、雪国特有の問題を抱えています。これまで様々な対策が講じられ、冬期歩行空間環境は向上しておりますが、冬も夏と同じ様な感覚で生活するライフスタイル、雪に慣れていない観光客の増加など、取り巻く社会環境の変化により、雪氷に起因する障害などは相変わらず冬期のバリアとして存在しています。札幌市では、冬の歩行者転倒事故がスパイクタイヤ禁止以降に急増し、社会問題化している現状にあります。特に、高齢者の転倒は大ケガにつながるケースの多いことが報告されており、今後の急速な高齢化社会の進展を前に、冬期歩行者転倒事故対策は、札幌市のみならず雪国共通の大きな課題と言えます。
雪道での歩行者転倒事故を防止するためには、道路の対策のみに留まらず、靴や服装、体育、健康、医療、福祉など様々な分野の英知を結集し、多方面から検討を進める必要があります。安全に歩けるような路面管理はもちろんのこと、歩行者自らが転倒予防の意識を高め注意していくことが、冬期歩行者転倒防止対策にとっては欠かせない視点です。
本提言は、2ヵ年にわたる委員会での広範な活動と議論の結果を踏まえ、冬期歩行者転倒事故防止活動を今後さらに広げていくために、委員会事務局をはじめとする行政機関、民間や地域団体など、今後の雪みち歩行環境づくりに関わるべき全ての機関、団体、さらには社会全体に向けて発信するものです。本提言の実現に向けて活動を広げながら継続的に努力されることを期待します。
平成18年3月
つるつる路面転倒防止委員会
(ユニバーサルデザインによる冬期歩行者転倒事故防止委員会)